乳製品(カゼイン)に潜む魔の手

 

「乳製品は体によい」とは昔から言われてきたことです。学校給食の牛乳を毎日欠かさず飲んでいたという方も多いでしょう。しかし一方で、乳製品に含まれるカゼインというタンパク質を摂り過ぎると、体に悪影響が現れるという意見もあります。この記事では、乳製品を摂り過ぎると体にどんな影響が出るのかという点を解説します。

カゼインとは

カゼインとは、牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品に含まれるタンパク質の一つです。牛乳に含まれるタンパク質のうち、カゼインが8割を占めています。母乳にもカゼインが含まれていますが、タンパク質中の比率は4割しかありません。また母乳中のカゼインは、牛乳中のカゼインと比べて分子が小さいため吸収しやすく、消化器官が未熟な乳幼児であっても胃腸に負担をかけにくいという特徴があります。

カゼインの摂り過ぎで起こる悪影響

カゼインの摂り過ぎにより、体には以下のような悪影響があると考えられています。

下痢

牛乳を飲み過ぎると下痢になるのは、容易に想像がつくでしょう。そもそも、日本人は欧米人と比較して、牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素である「ラクターゼ」の働きが弱く「乳糖不耐症」の人が多いです。ラクターゼが十分に働かない、少ないという原因には遺伝子的にラクターゼを産生し難いことがあります。つまり日本人が牛乳を飲んでおなかを下すのには、個人差よりも、人種的(遺伝子的)要因が大きく影響するのです。

②消化遅延や栄養の吸収阻害

乳製品に含まれているカゼインは胃の中で凝固する性質があり、さらに分子サイズが大きいため、消化に時間がかかります。消化に時間がかかるということは、活動や免疫のためのエネルギーが消費されてしまうということでもあります。また凝固した物質が腸の壁にへばりつき、栄養の吸収を阻害するという報告もあります。

③ホルモンバランスの乱れ

消化されにくいカゼインが腸に蓄積すると、やがて腸に炎症が起こります。体は炎症を修復するため、抗炎症作用がある「コルチゾール」というホルモンを分泌します。このコルチゾールは副腎という器官から分泌されますが、コルチゾールを頻繁に分泌していると、副腎は疲れ気味に。すると副腎から分泌されている他のホルモンにも影響が現れ、ホルモンバランスが乱れるという結果になるのです。各ホルモンには健康を支えるさまざまな生理機能があるので、ホルモンバランスの乱れは体調不良につながります。私の知人にも、「1日2L牛乳を飲んでいたのをやめたら、体調がよくなった」という人もいます。

④アレルギー性皮膚炎だと牛乳アレルギーを併発しやすい

かつては「牛乳がアトピー性皮膚炎の原因になる」という意見もありましたが、近年の研究では原因と結果が逆で、「アトピー性皮膚炎の人は牛乳アレルギーを併発しやすい」と言われています。アトピー性皮膚炎のように皮膚の免疫力が低下している状態では、牛乳がアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)となりやすいと考えられているのです。これはまだ仮説の段階ですが、皮膚が刺激に対して敏感なときは、牛乳が免疫細胞を攻撃してアレルゲンになる可能性があるということでしょう。

注目されている「カゼインフリー」

上記のようなカゼインの影響を鑑みて、カゼインを摂取しない「カゼインフリー」という食生活も注目されています。カゼインを完全に断つのは難しいかもしれませんが、数日間は乳製品を摂取しない、乳製品の摂取量を減らすなど、カゼインフリーの食習慣を少しずつ取り入れてみるのもよいかもしれません。

政府が推奨している牛乳の摂取量は1日130g

政府が推進している21世紀における国民健康づくり運動、いわゆる「健康日本21」では、成人における牛乳・乳製品の摂取量の1日平均摂取量の目標値は130g以上と定められています。これは成人の目標値であるため、学校給食で毎日200mlの牛乳を飲んでいる子どもは明らかに摂り過ぎているという意見もあります。しかし牛乳には豊富な栄養素があります。例えば、体内で合成できず、食事などからしか摂取できない9種類の必須アミノ酸が含まれています。これらの有用性は認めたうえで、牛乳・乳製品を必要以上に摂取することがないよう注意すべきでしょう。

~まとめ~

牛乳や乳製品を摂り過ぎると、下痢、栄養の吸収阻害、ホルモンバランスの乱れなど体には様々な影響が現れます。また、牛乳や乳製品にも栄養はあります。体によいからといって牛乳や乳製品を摂り過ぎることなく、栄養のバランスを意識して摂取することが大切です。

編集部

アレルギー図鑑編集部です。
編集メンバーのほぼ全員がアレルギー保有者。花粉症や、アレルギー性鼻炎、食物アレルギーによる蕁麻疹や肌荒れなど、様々なアレルギー症状に日々向き合いながら暮らしています。生活スタイルに合わせた無理のないアレルギー解決をモットーに、皆さんのアレルギー解決に役立つ情報を発信していきます。