お薬が原因のアレルギーと、それ以外の体調不良とは?

頭痛や解熱、打撲・打ち身の緩和など、皆さん、一度は「解熱鎮痛薬」というものを使ったことがあるのではないでしょうか?
痛みを和らげ、熱を下げるはずのお薬が、喘息や蕁麻疹、アナフラキシーショックなどを引き起こすことがあることを知っていますか?
今回は、解熱鎮痛薬を使用したことによる体調不良について紹介します。
鎮痛薬アレルギー(不耐症)の特徴・原因
病院・薬局で処方される鎮痛薬、又は、ドラッグストアで購入する鎮痛薬には、配合される有効成分によっていくつかの種類に分けられます。
その中でも身近な鎮痛薬の種類としてNSAIDs(エヌセイズ)系の薬というものがあります。
このNSAIDsという鎮痛薬には、主に以下の有効成分が配合されています。
・アスピリン(バファリンA®他)
・イブプロフェン(イブ® 他)
・エテンザミド(ノーシン® 他)
・ロキソプロフェン(ロキソニン® 他)
NSAIDsとは、ステロイドではない解熱鎮痛薬のグループを総称したものです。
病院や薬局で処方されるお薬やドラッグストアで購入できる、ほとんどの解熱鎮痛薬に配合されています。
このNSAIDsを服用することで、おもに2種類の体調不良を起こすことがあります。
そのうちの1種が、NSAIDsアレルギーというものです。
これは、アスピリンやイソプロピルアンチピリンなどの特定の成分に対してのみアレルギー症状を発症することがあります。
2種目は、NSAIDs不耐症、または、NSAIDs過敏症(以下、NSAIDs不耐症)と言われるものです。
NSAIDsアレルギーは医師でも診断が難しいため、今回は、NSAIDs不耐症を中心に説明します。
NSAIDs不耐症は、過去にお薬を使用し、症状が出なかった場合でも、突然発症することもあります。
また、効き目の強い解熱鎮痛薬ほどこれらの症状がおきやすいことが知られています。
NSAIDs不耐症の症状
NSAIDs不耐症には、症状によって、喘息型と蕁麻疹型の2つがあります。
喘息型
服用後、1時間以内に喘息、鼻水、顔や首が赤くなる、下痢、腹痛などの症状が現れます。
大人の喘息患者の約10%がNSAIDsに過敏とされています。
蕁麻疹型
服用後、1~3時間以内に蕁麻疹、血管浮腫(唇、まぶた、顔などが腫れあがる)、咽頭浮腫(喉の内部が腫れ息苦しくなる)の症状が現れます。
慢性蕁麻疹を持っている方の約30%がNSAIDsにより、症状が悪化するとされています。
NSAIDsアレルギー、NSAIDs不耐症とも場合によっては、「アナフィラキシーショック」が起こり、呼吸困難・低血圧・意識を失う症状が出る場合もありますので、すぐに病院で診察と治療を受けることをオススメします。
NSAIDs不耐症の原因
NSAIDs不耐症は、プロスタグランディン合成酵素阻害(=シクロオキシゲナーゼ阻害)作用による不耐症と言われており、残念ながらはっきりとした原因はわかっていません。
NSAIDs不耐症の対策
NSAIDsの使用を避けること。
NSAIDsは、内服薬(錠剤、顆粒、カプセル剤など)以外にも、坐薬や貼付薬、注射薬もありますので、NSAIDs不耐症が疑われる場合は医師又は薬剤師に相談しましょう。
NSAIDs不耐症は、「非アレルギー学的過敏症状」と言われ、大人になってから生じやすい疾患です。
通常の皮膚におけるテストや血液検査では診断ができません。
確実に診断するためには、ごく一部の専門施設でのみ試験が可能です。
喘息、腹痛、吐き気、息苦しさを感じた場合には早急に医療機関を受診し、使用したお薬と、いつ使用したかを必ず伝えて下さい。
まとめ
・熱鎮痛薬には、NSAIDs(エヌセイズ)という系統がある
・NSAIDsを使用したことによる体調不良には、「NSAIDアレルギー」と「NSAIDs不耐症」というものがある
・NSAIDs不耐症は、さらに「喘息型」と「蕁麻疹型」の2種類があり、非アレルギー学的過敏症状と言われ、大人になってから生じやすい
・大人の喘息患者、または、慢性蕁麻疹患者に起こりやすい
・NSAIDsは、内服薬以外にも、坐薬や貼付薬、注射薬もあるので、NSAIDs不耐症が疑われる場合は医師に相談し、症状が現れた場合は早急に医療機関を受診するし、使用した薬と、いつ使用したかを必ず伝える